経済産業省は24日、調達価格等算定委員会(委員長=山内弘隆・一橋大学大学院特任教授)を再開し、今後のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り価格などに関する検討に着手した。2020年度末に控えるFIT抜本見直しの検討との整合を図りつつ、現行制度下で対応可能な入札制の対象範囲拡大といった論点を詰める。年明けにも方向性をまとめる。

 同日の会合で、経産省・資源エネルギー庁が19年度の算定委の論点を示した。FIT抜本見直しの視点を踏まえ、現行の枠組みで対応可能な措置を講じるとともに、新制度の適用が見込まれる案件については発電事業者の予見性に留意し、取り扱いを決める。従来の複数年度の買い取り価格設定は行わず、対象電源は方向性の議論にとどめる。

 また、太陽光パネルなどの廃棄費用の積み立てに向けては、専門の作業部会での検討状況をにらみつつ、これまで通り一律に「資本費の5%」と定めるのではなく、20年度以降の水準を検証する。電力・ガス取引監視等委員会が23年度の導入を目指すとした「発電側基本料金」の調整措置も詳細を詰める。

 電源別の論点としては、事業用太陽光は現行の入札対象「500キロワット以上」からの拡大を視野に検討する。委員からは「250キロワット以上」を推す声が複数上がった。また、19年度の買い取り価格が1キロワット時当たり24円に設定されている住宅用太陽光を巡っては、価格低減が設置者の自家消費や余剰売電といった選択に与える影響を見極めながら、検討の深掘りを図る。

 「競争電源」に位置付けられた風力は、入札制導入の是非を検証する。このうち、着床式洋上風力は再生可能エネ海域利用法の適用を前提に、環境アセスメントの手続きに入っている案件への影響を考慮し、適用外案件の20年度価格などを議論する。

 この他、地熱・中小水力は規模や新設・リプレースの条件に応じて、大規模な案件は買い取り区分の設定の妥当性を議論。地域での活用を促す小規模なものは具体的な制度の在り方を固め、22年度の扱いを決定する。バイオマスもエネルギーの利用方法に着目し、地域活用の方向性などを具体化させる。

電気新聞2019年9月25日