環境省は、浮体式洋上風力発電事業を促すための協議体を来年度に設置する方針だ。政府がエネルギー基本計画や長期低排出発展戦略(長期戦略)で言及した「再生可能エネルギーの主力電源化」に向けて、潜在力が高い浮体式洋上風力の導入に関する中長期目標などを検討する。戦略的に推進すべき地域も抽出し、地域の脱炭素ビジネスの円滑な事業化を後押しする。2020年度から4年間実施する見通し。環境省の20年度予算の概算要求に新規事業として盛り込んだ。

 協議会は産学官で構成。電力会社やエンジニアリング会社、ゼネコン、自治体などの参加を想定している。早ければ来年度明けにも立ち上がる見通しで、10~20人程度の有識者で議論する方針だ。戦略的推進地域は10カ所程度に絞り込む方向で検討する。

 長崎県五島市などの浮体式洋上風力の実証事業を通じ、確立した係留技術や効率的な施工方法の展開が今後必要になる。導入に当たっては、離島など遠隔地が適地として有望だ。ただ、事業を進めていくには風況だけでなく、海底の地形や海象状況との適合、電力需要を踏まえた出力変動対策、社会受容性確保といった様々な課題に対応する必要がある。

 洋上風車の社会受容性の課題に関しては、適地とされた地元関係者や金融機関などを対象とする理解醸成活動を来年度から始める。洋上風車設置で懸念される海洋環境や景観の影響について、導入を考えている地域の関係者に実物を見てもらう機会を提供する。小型試験機などの活用を想定しており、現地まで船でえい航する。

電気新聞2019年9月13日