富士経済は再生可能エネルギー発電システムの国内市場調査結果をまとめた。2030年度の国内市場は17年度比47.9%減の1兆521億円となる見通し。これまで市場を牽引していた太陽光は、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)見直しなどを背景に18年度の3割以下まで縮小すると予測した。風力と水力は市場が活発化するとみる。この他、再生可能エネの累計導入量もまとめた。18年度(見込み)の7183万キロワットから、30年度に1億2687万キロワットまで伸びる見通しを示している。

 国内市場規模は太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱に関連する再生可能エネ機器を中心に調査。太陽光発電設備の保守管理や屋根貸しなどのサービス分野も品目に加えた。

 太陽光は未稼働案件の導入が進み、18年度(同)に1兆7195億円まで拡大した。今後は自家消費を目的とする導入が進み、将来的には非FIT市場が大部分を占めると分析している。

 風力は25年度頃まで陸上の大型案件が市場をリードする見通し。小型風力は20キロワット以上のFIT区分に統合されて、需要が減少すると予想。洋上案件の本格化は25~30年頃とみており、適地選定が難しくなってきた陸上大型案件の投資が振り向けられるとの見方を示した。

 水力は17年度に千~5千キロワットで買い取り価格の新区分が定められた。ただ、市場では5千~3万キロワット容量帯の商談が活発化しているという。20年度の発送電分離に伴い、旧一般電気事業者の積極的なリパワリングや更新が進むとした。

 バイオマスはパームヤシ殻(PKS)を燃料とした案件が20年度前半まで市場を引っ張る。ただ、中長期的にはFITの対象となるバイオマス資源の見直しなどで市場が縮小すると予測。地熱は大型案件やバイナリー発電の拡大が期待できると分析した。

 再生可能エネの30年度導入量予測のうち、太陽光発電は9430万キロワットになる見通しを示した。

電気新聞2019年8月14日