タイヤ内部に設置した摩擦発電機
タイヤ内部に設置した摩擦発電機

 関西大学の谷弘詞教授と住友ゴム工業は、タイヤの内側に取り付けた摩擦発電機で電力を発生させる技術を開発した。摩擦発電機はゴムの中に、静電気が起きやすいフィルムと電極を内蔵。タイヤが地面に触れるなどして起こった振動により、フィルムがこすれて微弱な電力を発生する仕組み。住友ゴムは新技術をタイヤの空気圧を測るセンサーの電源などとして活用したい考えだ。

 関西大の谷教授は、2018年に摩擦発電機を開発。靴に組み込んで発電量を測定したところ、一歩の着地で0.6ミリワットの発電が可能なことを確認した。これは10個以上のLEDを点灯できるほどの発電量だという。

 今回、谷教授と連携した住友ゴムは、タイヤ内部に摩擦発電機を設けるための技術開発を担った。タイヤの内部は高温など過酷な環境となる。住友ゴムは摩擦発電機をゴムで覆うなどして、タイヤ内部の環境に耐えられる性能を確保した。

 新技術はタイヤの空気圧を測るセンサーの電源などへの応用が期待される。パンクなどタイヤの不具合から起こる事故の防止にも役立つ。トラックのタイヤなどへの設置を想定。トラックは日常的に多数のタイヤを点検する必要があるが、運送業界には人手不足という課題がある。

 そういった課題への対応や作業負担を減らすため、タイヤの点検をIoT(モノのインターネット)で自動化したいとのニーズがあるという。自動運転が実用化した場合に、タイヤの空気圧を遠隔監視したいというニーズにも応えられる。

 今回の技術は18年10月に、科学技術振興機構による産学共同の研究開発を支援するプログラムに採択。同機構の支援を受けながら開発を進めている。

電気新聞2019年7月24日