全国の一般送配電事業者など12社は8日、電柱位置情報データを一元的に提供する法人向けサービスを開始すると発表した。電柱位置情報は、これまで警察や消防などの分野で活用されていたが、エリアがまたがる場合は個別にそれぞれ入手する必要があった。今回、12社が相互に代理店となることで一括提供が可能となった。顧客の利便性を向上させることで、位置データ情報の需要を掘り起こし、新たなビジネス創造につなげる。

 枠組みに参加したのは全ての一般送配電事業者、東電タウンプランニング、北電情報システムサービスの12社。

 電柱位置情報データの提供は、北海道電力や東電タウンプランニングが有料提供によるビジネスを展開。その他はデータ加工の実費を手数料として受領するだけなど、各社で対応が異なっていた。今回の枠組みにより、NTT共架柱を含む(電力設備のないNTT柱は対象外)、全国の2700万本の電柱を対象に有料ビジネスが展開されることとなった。

 行政区画と供給エリアは一致しないことも多いため、例えば「福井県内の全データが必要」といった場合は、これまで北陸電力と関西電力に連絡する必要があったが、今後はいずれかに申し込めば2週間程度で一括してデータを受け取れる。入手の利便性を高めることで、これまで個社でつながりの薄かった行政・企業に対してもニーズを掘り起こすことが期待される。

 電柱に掲示された固有番号を突合すれば、GPS(衛星利用測位システム)より正確に位置を割り出せることに強みがあり、目立った目標物がない場所で特に利便性が高い。これまで警察や消防などで活用されており、今後は通信事業者による設備管理や、タクシーの配車、保険会社の交通事故対応サービスなどへの展開を想定する。

 提供価格は各社で決める。例えば、関電の場合、大阪市内のデータは170万円(税別)で提供する。設備に変更があった場合のサポートや、地中化設備など電柱以外の位置情報提供、各社で異なる座標基準(測地系)の相互変換、一般の人にも分かりやすい電柱番号の表示などもニーズに応じて検討していく。

電気新聞2019年8月9日