取り組みを説明する東電HDの姉川フェロー
取り組みを説明する東電HDの姉川フェロー

 経済産業省は11日、自動車メーカーや電力会社、宅配業者、地方自治体などで構成する「電動車活用社会推進協議会(CEVS)」を立ち上げた。電動車の普及だけでなく、蓄電・給電機能をエネルギーシステムの一部として活用する取り組みに重点を置く方針だ。東京電力ホールディングス(HD)、関西電力、中部電力、九州電力など96者が参加。先進事例を共有するとともに、効率的な車載電池のリユース・リサイクルの仕組みなどを検討していく。電動車向けの優遇措置なども募り、発信する。

 11日に都内で開いた設立シンポジウムで、協議会に参加する企業が自社の取り組みを説明した。東京電力HDの姉川尚史フェロー・経営技術戦略研究所長は、高速道路や集合住宅近隣へ充電器の設置、車載電池のリユース・リサイクルなどを今後の電動車普及の課題として指摘。「売れる、使える電気自動車(EV)とするための支援に力を注ぎたい」と述べた。

 経産省の上田洋二審議官は、パリ協定で掲げられた2度目標の達成に向けて、「世界の温室効果ガス排出の4分の1を占める運輸部門の対策が不可避」と強調。「自動車の環境性能を向上させ、温暖化対策に貢献する考え方は、国連に提出した長期低排出発展戦略(長期戦略)にも反映されている。その達成に向け、協議会の活動が重要になる」と述べた。

 協議会にはトヨタ、日産自動車、ホンダ、マツダ、三菱自動車といった自動車大手のほか、日立製作所、東芝、東京ガスなどが参加する。協議会の事務局は経産省と次世代自動車振興センターで、国土交通省がオブザーバーとして加わった。電動車の社会価値を最大化するためのビジネスモデル構築を目指し、連携を深める。

電気新聞2019年7月12日