東京電力パワーグリッド(PG)は17日、蓄電池の制御技術を持つ「NExT-e Solutions」(NExT-eS、東京都文京区、井上真壮社長)と、蓄電池ライフサイクルマネジメント(LCM)の実現に向けた協業について合意したと発表した。モビリティー分野で一次利用を終えた蓄電池の有効利用を促し、付加価値を最大化する。同時に、電気自動車(EV)などで使った蓄電池をリサイクルするためのサプライチェーン構築を目指す。

 モビリティー分野で一次利用を終えた蓄電池は性能評価が難しく、最大限活用するための仕組みが確立されていないのが現状だ。今回の協業で東電PGは、これまでに培った需給運用ノウハウや再生可能エネルギーの変動予測などの技術に基づいて蓄積してきた蓄電池の活用ノウハウを用いて、蓄電池の再利用価値を明確化し、再利用を促す蓄電池LCMプラットフォーム構築を目指す。

 NExT―eSは、蓄電池制御技術を活用し、蓄電池制御基盤とIoT(モノのインターネット)技術を活用した蓄電池データの収集や分析管理が可能なシステムを構築する。

 再利用する蓄電池は東電PGで活用するほか、一般家庭や自治体、再生可能エネ事業者などにも提供することを想定。分散型社会に向けた電化、再生可能エネや需給調整市場に向けた蓄電池の導入拡大などにより、品質の高い電気を安定的に使える環境を構築できる。資源を最大限活用することで、環境負荷低減に寄与することもメリットとしている。

 東電PGによると、サービスの開始時期は未定。協業のスケジュールなどについても、今後検討を進める。NExT―eSは関西電力や九州電力とも協業・提携している。

電気新聞2019年7月18日