安全性が確認されていない製品ではずり上がったジャケットが首を絞めてしまう可能性も(右)3Mジャパンとミズノの製品では落下時にも安全性に余裕があることが確認された(左)
安全性が確認されていない製品ではずり上がったジャケットが首を絞めてしまう可能性も(右)3Mジャパンとミズノの製品では落下時にも安全性に余裕があることが確認された(左)

 フルハーネス型安全帯とファン付き作業服の併用に思わぬ危険性!?――。

 屋外現場での暑さ対策として効果を発揮し、建設業界を中心に急速な普及をみせる電動ファン付き作業服。夏場の作業環境が向上すると、導入する企業が増えている。

 一方で、今年2月から墜落・転落事故の防止策として改正された墜落制止用器具に関する政令・省令が施行された。これにより今夏はフルハーネス型安全帯とファン付き作業服の併用が増加すると予想される。

 スリーエム ジャパン(東京都品川区、スティーブン・ヴァンダーロウ社長)とミズノはこのほど、落下実験を共同で行い、フルハーネスとファン付き作業服併用の安全性を調べた。

 併用の安全性が確認されていないフルハーネスとファン付き作業服を着用して高所から墜落した場合、それぞれの構造の相性により思わぬ事故が発生するという。フルハーネスが体からずり上がることで作業服の襟元が墜落者の首を絞めてしまったり、ファン付き作業服の背中側に設けられたD環とランヤード(ひも)を通すための穴に落下時の衝撃を吸収するショックアブソーバーが引っ掛かって展開せず、墜落時の衝撃を十分に吸収できないなどの恐れがある。

 両社はこのほど、米国3Mの研究所で安全性確認の実験を実施。3Mのフルハーネスとランヤード、ミズノの「エアリージャケット TOUGH」を着用したセンサー内蔵マネキンを用いた落下実験を行い、体にかかる負荷を調査した。その結果、適切に着用していれば両社の製品を併用できることを確認。落下した際も、首元に余裕を保つことが分かった。

 両社は24~26日に東京・有明の東京ビッグサイトで行われる展示会に出展し、今回の実験で安全性を確認したフルハーネスと電動ファン付き作業服を展示する。

電気新聞2019年7月16日

[訂正]記事中に記載しておりました「空調服」は株式会社空調服の商品名です。このため、電動ファン付き作業服と修正しました。