再生可能エネルギーの一層の導入拡大に向け、「需給一体型」の活用モデルを模索する動きが出てきている。FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)切れ電源の自家消費を促したり、電気自動車(EV)や蓄電池、太陽光などを組み合わせて活用するには、コスト削減を推し進め、制度的な課題を克服することが必要。経済産業省・資源エネルギー庁は、省エネルギー制度から自家消費を促す仕組みを導入するなど、今後の有識者会合で支援策の検討を深掘りする方針だ。

 需給一体型の活用モデルの構築を巡っては現在、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で検討が進められている。これまでに、エネ庁は(1)再生可能エネの価値の見える化(2)中核技術の普及(3)分散型エネルギーリソースとの統合――の3点を課題として提示した。

 価値の見える化では、大口需要家の多くが関係する省エネ制度と組み合わせることで、再生可能エネの自家消費を後押しする方策を提起した。

 例えば、従業員が通勤する際に使用する自家用EVは太陽光を搭載した事業所で給電したり、企業が家庭での自家消費を支援する代わりに、報告を受けた分だけ省エネ制度で評価される仕組みなどを取り入れるなどが挙げられる。

 一方、蓄電池など中核技術の普及に向けては価格低減を推し進めることはもちろん、系統連系協議や規制対応といった事業者の負担を軽減させる制度を整えることも不可欠。系統連系申請の際に一部提出データが免除される電気安全環境研究所(JET)認証の対象を広げるほか、認証にかかる審査期間を短縮させる方向が定まっている。

 また、世界的なEVの普及で車載用蓄電池の価格低減が見込まれる中、中古の車載用蓄電池を定置用蓄電システムへと転用することも期待できる。ただ、蓄電池の残存価値を適切に評価する手法の標準化は未整備で、二次利用は進んでいない。今後、「電動車活用社会推進協議会」の場で、指針策定や標準化など具体的な対策を講じていく。

 エネ庁では、こうした課題への対応の一環として、関連団体を交えたプラットフォームの形成についても検討を始める。この他、アグリゲーションビジネスの普及に資する電気計量制度の見直しでも検討を継続。地域マイクログリッドを整備する上での権利・義務の明確化や需給調整技術の確立などについても、先進事例を支援しながら、論点を洗い出す方針だ。

電気新聞2019年7月10日