総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)省エネルギー小委員会(委員長=中上英俊・住環境計画研究所会長)の会合が24日、約9カ月ぶりに開かれ、資源エネルギー庁が今後の省エネ施策の方向性を提示した。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及に向けては、太陽光発電の自家消費を中心に、新たな制度モデルへと転換を促す必要性を強調。災害時に節電が進みやすくなるよう、電力需要の実態調査を行う考えも明らかにした。

 政府は2020年までに、新築注文戸建て住宅の半数をZEHにする目標に掲げている。18年度実績では約5万3千戸(26.5%)にまで伸びているものの、目標とはなお開きがある。

 エネ庁は施策の方向性として、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の買い取り価格が家庭用電気料金を下回りつつある状況で、太陽光の自家消費を進めたり、モビリティーを含む新たな電力需要と連携させる必要性を強調。快適性やレジリエンス(強靱性)といった省エネ以外の価値についても明確にすべきと指摘した。

 また、昨年の北海道胆振東部地震に伴うブラックアウト(エリア全域の大規模停電)を踏まえた対策の一環として、家庭・業務部門を対象とした電力需要実態調査に乗り出す方針も明らかにした。地域・季節ごとにウェブ上でアンケートを行うほか、一部では実測調査も実施する。自然災害などで需給が逼迫した際に、効果的な節電メニューが提示できるようにする。

 一方、ベンチマーク制度の見直しを巡っては、同小委下部の作業部会で検討に着手。企業が目標達成に向けて努力する過程を評価する仕組みを取り入れ、補助金などの審査に活用していく方向で議論が進む見通しだ。

 24日の会合ではG20(主要20カ国・地域)エネルギー・環境関係閣僚会合での議論も踏まえ、国際エネルギー機関(IEA)の分析なども考慮しながら、現行制度では国内企業の上位10~20%に設定している目標値の水準が、国際的に妥当かを検証していく必要にも言及した。

 これに対し、業界団体からは「製品構成などが異なれば、目標達成にも違いが出る。国際水準との比較を行うにしても慎重に進めてほしい」といった意見があった。

電気新聞2019年6月25日