灯台内部の灯器を点検する技術員
灯台内部の灯器を点検する技術員

 関西電気保安協会(川邊辰也理事長)は12日、文化財や公共施設に対する無償点検の一環として、本州最南端にある和歌山県串本町の潮岬灯台で低圧電気設備の特別点検を実施した。電気設備の不具合で船の航行を守る海のともしびが絶えることのないよう、新宮営業所の技術員2人が出向き、入念に点検を行った。灯台を管轄する海上保安庁の担当者は「台風シーズンを前に電気のプロに点検してもらい、異常がないと聞いて安心した」と話していた。

 潮岬沖の海域は、黒潮の影響で海流が速いうえ「台風銀座」と呼ばれ、昔から航海の難所として知られる。明治初期に白亜の灯台が建設され、約150年の間、沖行く船を照らし続けている。

 点検では、技術員2人が敷地内の引き込み盤や分電盤、灯台内部の灯器を調べ、温度の異常や変色、漏電がないことを確認した。

 文化財など特殊な点検を若い職員に経験してもらおうと選ばれた2年目の中田浩人さんは、先輩から点検のポイントを教わりながら慎重かつ丁寧に作業を進めていた。

 一連の点検を終え、辻弘幸・新宮営業所長は「点検する機会が少ない灯台のような施設でも点検項目は同じだが、灯器などの特殊機器もあり、気を使った。一般の見学者もいたので注意して点検した」と語った。

 清水嘉之・海上保安庁第五管区海上保安本部田辺海上保安部交通課安全対策係長は、協会による今回の特別点検に感謝を示すとともに「灯火を絶やさない」という使命感を強調した。

 協会は8月の電気使用安全月間に合わせ、文化財や公共施設などの特別点検を約130カ所で行う。今年度は400カ所以上の点検を行い、地域貢献に努める。

電気新聞2019年6月20日