関西電力はVPP(仮想発電所)のリソースとして、人工光型植物工場を活用するための実証を12月頃から国内で初めて実施する方向だ。24時間の中で植物が受光する全体量は変えず、点灯時間をシフトすることによる生育への影響を検証する。人工光型植物工場は消費電力量が大きく、国内でも施設数が増加しているため、VPPの重要なリソースとなるだけではなく、営業ツールとしても期待できそうだ。

 実証は、レタスを対象に実施。通常は午前5時から午後9時まで16時間点灯し、残り8時間は消灯して栽培している。実証では1日当たり16時間の点灯時間は維持しながら、VPPアグリゲーターからのデマンド指令を受けてLED照明の点灯と消灯を行う。

 関電技術研究所の植物栽培設備で、300株程度を対象に行う予定。受電設備や専用回路など、指令を受けるための設備の開発も併せて進める。

 実証後にサービスを提供していく対象は、日産3千株以上の植物工場を想定。この規模では、照明電力需要は8千キロワット以上、1日当たりの使用量は10万キロワット時以上になる。スマートグリッド(次世代送配電網)に接続し、ネガワットやピークシフトなどに活用するといった可能性が広がる。

 同研究所は、「VPPのデータを見せながら、植物工場の事業者などへ営業を行っていくツールにもなるのでは。様々な事業へ、実験結果を生かしていきたい」と意欲をみせている。

 日本施設園芸協会の調査によると、国内の人工光型植物工場は2019年2月時点で202カ所ある。11年3月時点の64カ所と比べると3倍以上に増加しており、企業が取り組む事例が多い。人工光型は太陽光型と比べて光量が小さいため、大きな光量で糖度が増すトマトのような植物ではなく、レタスなど葉物類を栽培するケースが多いという。

電気新聞2019年6月18日