2030年のありたい姿を掲げた「九電グループ経営ビジョン」を説明する池辺社長
2030年のありたい姿を掲げた「九電グループ経営ビジョン」を説明する池辺社長

 九州電力は7日、同社グループの新たな経営方針「九電グループ経営ビジョン2030」を発表した。2030年度の目標として連結経常利益1500億円、海外を含めた総販売電力量1200億キロワット時などを掲げた。同日会見した池辺和弘社長は「九州の地場企業として地域課題の解決へ、皆さまと一緒に知恵を絞り、汗をかくことが使命。九州の持続的な発展に貢献し、九州とともに成長・発展していきたい」と、新経営ビジョンに込めた思いを説明した。

 新経営ビジョンでは、30年のありたい姿として「九州から未来を創る九電グループ」を掲げた。30年度に再生可能エネルギー開発量500万キロワット、域外電源開発量200万キロワット、海外発電持ち分出力500万キロワットを実現し、電気事業などエネルギーサービスのさらなる進化を図る。電気事業以外では、情報通信や都市開発、不動産、空港などインフラサービスに加え、観光やスマート農林業など九州地域の成長・活性化に向けた事業領域への進出に取り組む。

 具体的には、(1)連結経常利益(2)総販売電力量(3)二酸化炭素(CO2)排出削減(4)低廉な電気料金――の4つの経営目標を設定。連結経常利益は、16~18年度の平均730億円を30年度1500億円に倍増。海外事業や新規事業の展開で、経常利益に占める国内電気事業以外の比率を現状の約3割から5割まで拡大させるとした。

 総販売電力量については、国内と海外の小売り・卸売りを合わせた18年度実績約900億キロワット時を30年度に1200億キロワット時まで拡大。CO2排出量では、電化推進と原子力、再生可能エネなど非化石電源比率の向上で、30年度に13年度比2600万トン減を目指す。電気料金については現在、北陸電力に次ぎ大手電力で2番目に安い料金水準を今後も維持する。

 池辺社長は「事業所やグループ会社を回り、皆でつくったビジョンだという自負がある。簡単な目標ではないが、決して達成できないものではない。これから皆とともに(ビジョン実現に向け)歩いて行くのが楽しみ」と抱負を述べた。

電気新聞2019年6月10日