VPP(仮想発電所)やV2G(電動車から電力系統への充放電)のアグリゲーター事業の確立に向け、実証プロジェクトが2019年度も展開される。5月30日に経済産業省・資源エネルギー庁の「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」の採択結果が公表され、申請企業などが31日に実証プロジェクトの内容などを相次ぎ発表した。
関西電力、北陸電力、四国電力は31日、3社などが参画する「関西VPPプロジェクト」が19年度のエネ庁補助事業に採択されたとそれぞれ発表した。同プロジェクトは16年度から展開しているもので4年目に入る。今年度から北陸電力と四国電力が新たに参画。それぞれのエリアに設置された蓄電池なども遠隔制御をする実証を行う。関電トンネルに導入した電気バスも新たに需給調整力として利用する。
「関西VPPプロジェクト」は、これまで分単位、秒単位の調整力制御を可能とするシステム構築を進めてきた。分単位では関電が全体を統括するアグリゲーターを担い、関電エリア内の大型蓄電池、電気自動車(EV)、エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ式給湯機)といった顧客設備をリソースとして活用。秒単位では1万台規模の蓄電池を一括制御するシステムをシミュレーションにより構築してきた。
19年度は25社が参画。分単位制御について、扇沢駅(長野県大町市)と黒部ダム駅(富山県立山町)を結ぶ電気バスを、オフシーズンにリソースとして活用する。電気バスは4月に15台導入。夏季を中心に観光の足として利用されるが、冬季は全面運休となる。このうち3台をV2H(電動車から宅内への充放電)システムと接続し、1台当たり53キロワット時の蓄電容量を活用する。
北陸電力は社宅・奥井ハイム(富山市)に配備された蓄電池、EV、エコキュートを、四国電力は顧客であるボートレースまるがめ(香川県丸亀市)、徳島文理大学(徳島市)に設置された蓄電池をそれぞれリソースとして利用。関電と連携して遠隔で充放電制御・統合管理を行う。秒単位制御については、周波数調整力を供出する計画機能の追加を進める。
電気新聞2019年6月3日
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