
トランプ米大統領によるイラン軍事作戦から1カ月が経過した。当初は早期に内部崩壊も含めた決着が期待されていたが、作戦は想定よりも難航している。想定通りにあっけなく終戦すれば、エネルギー価格もさほど上がらず、イランの過激派が牛耳る、イスラム原理主義の国を倒したという手柄をあげて、中間選挙を迎える思惑であり、早期に片付いてインパクトが少ない予定だったであろう。
11月の米国の中間選挙は、歴史的なパターンからすると、共和党は議席を減らして当たり前であり、議席減をどこまで少なくするか、あわよくば少しでも増やせるかという流れになる。今回の攻撃により、トランプ大統領はイスラエルに徹底的に寄り添う姿勢を示し、キリスト教右派を中心とする保守支持層へのロイヤルティーを示した。
個別の議員が地元のためにちゃんと働いてるのかが問われる中間選挙で、大統領が外交でブイブイ言わしていることは、どれだけ足しになるのか。外交でミソをつけて負けた大統領はいたとしても、その逆に期待するのは難しいだろう。
従来の大戦では、大国が戦後のグランドデザインを描いて、新しい秩序ができていった。しかし現在は、大国がこの紛争はここで手打ちにして、これからはこういうルールでやっていこうと、第一声を発する人がいない。ゆえに、当事者同士が何かお互いに妥協するところがないと、戦争は終わらないという見方ができる。
日本は1970年代から、燃料調達元の多角化に取り組んできたが、石油はなかなか分散化が難しかった。近年増産されているアラスカ産原油は、ちゃんと投資をして掘れば出てくる資源だ。中長期的な供給源として検討する価値は大きい。
一方で新規資源開発において必ず伴うのが、環境団体による訴訟リスクだ。10~15年を要するプロジェクトの全期間にわたり、訴訟リスクが排除されない限り、企業は投資判断を下しにくいであろう。(談)
◆メモ
すぎの・あやこ=2016年東大大学院法学政治学研究科博士課程修了、01年日本エネルギー経済研究所入所。研究主幹などを経て、21年4月から現職。
電気新聞2026年3月30日





