
◇第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト・熊野英生氏
石油製品の値上げは今後、半年から1年、2年と続くだろう。原油市況が落ち着いたとしても、価格転嫁はタイムラグで起こる。年央から年末にかけてのインフレ要因として、企業収益にマイナスに作用するだろう。政府は備蓄原油の放出を決定したが、不要不急のエネルギー消費の抑制を図る必要がある。
2011年には夏場の需要ピーク時の使用電力量の削減要請や計画停電が実施された。家計や経済には痛みが生じるが、燃料の量を長持ちさせるためには、このような施策の検討も必要だろう。
一方、価格のコントロールはなかなか難しい。アジアの国の中には、備蓄原油を持っていない国もある。市況を急上昇させないためには、日本や韓国のように備蓄をたくさん持つ国が、少し他国に融通することが必要かもしれない。
原油は川上部分であり、量的な制約で第1次、第2次オイルショックの時のようなパニックが起こる。供給制約を、国内外で起こさないようにすることで、価格の急騰は抑えられる。
「第3次オイルショック」を回避するために、エネルギー安全保障の強化が必要だ。電力の供給源や原油資源の輸入を多角化することが喫緊の課題で、それに向けて取り組むべきだ。
政治家は大所高所に立ち、いわゆる正常性バイアスを打ち破る必要がある。危機だからこそ、痛みを伴うようなエネルギー効率化に向かわないといけない。イラン情勢のように、日本ではコントロールできない外生的なショックに対しては、ある程度痛みを伴う体質改善をやっていくべきではないか。
歴史をひも解くと、第2次オイルショック前の1970年代に自動車の燃費改善に取り組んだことが、産業競争力を非常に強くし、日本の貿易黒字、輸出競争力をつくった。日本は、海外諸国と比べても、危機対応は素晴らしいと思う。(談)
◆メモ
くまの・ひでお=1990年横浜国立大経済卒、日本銀行入行。00年8月、第一生命経済研究所入社。11年4月より現職。
電気新聞2026年3月27日





