◆LNG調達で供給源多極化を
◇経済合理性とリスク回避/経営判断上、より重要に
◆長引く戦争
2月28日、イラン最高指導者ハメネイ師の殺害によって始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突は執筆時点(4月3日)でその帰趨は見えてこない。今回の軍事行動はほとんどが航空攻撃すなわち航空機による空爆やミサイル攻撃によるものである。精密誘導爆弾やミサイルはそれ自体精密機器、そしてハイエンド半導体のかたまりであり、数カ月から年単位という長時間をかけて製造される。第2期トランプ政権において国防次官をつとめるエルブリッジ・コルビーは次官就任前から「米国はウクライナ支援を極力欧州に委ねるべきである。ウクライナ支援によって弾薬備蓄を減少させることは、将来的な中国との対峙において大きなリスクとなる」と主張してきたが、その背景にはこうした問題がある。単なる推測に過ぎないが、この観点でいえば中東における本格的な軍事行動が長期化するとは考えにくい。
一方で2022年2月に始まったウクライナ戦争はすでに4年が経過し、その終結は全く見込めない状況にある。太平洋戦争やソ連がナチス・ドイツと戦った大祖国戦争が4年弱で終結したことを考えれば、この戦争がいかに国家と国民を消耗させるのか、ということをうかがい知ることができる。筆者を含め軍事・安全保障の実務者や研究者の多くは、21世紀にこれほどの長期消耗戦が欧州において生起することを予見できなかったが、なぜこうした消耗戦が長期化しているのか、と問われたならば、重要な答えの一つは「人間の意志の問題である」、といえる。
侵攻当初、ロシアの政治・軍事指導者はせいぜい数週間で戦闘は終結すると見込んでいたことは間違いない。ロシア軍は当初ウクライナに対し全方向からの攻撃を開始した。これは軍事力によって広大なウクライナ全土を制圧するというよりも、初度攻撃の脅しによってウクライナの政治指導者が逃亡し、政府を転覆させることを企図したものである。侵攻開始直後、多くの欧米メディアもゼレンスキー大統領らはポーランドに逃亡する可能性が高いと論じていた。
しかしその目論見は侵攻初日、ゼレンスキー大統領はじめウクライナ政治指導者たちの「我々はここにとどまって戦う」というインスタグラムの動画によって完全に覆され、戦略環境は瞬時に激変した。現代の世界においても戦争の帰趨を決する最も決定的な要因とは「人間の意志」である、ということをウクライナ戦争は改めて示したといえる。





