経済産業省・資源エネルギー庁は26日、太陽光発電の出力制御の対象を、10キロワット以上にまで拡大させる方針を固めた。九州電力エリア内では、2018年度は計26日出力制御が実施され、19年度に入ってからも量・頻度ともに増加傾向にあることを踏まえ、対象を広げることで必要な制御量を確保し、事業者当たりの負担を軽減させる。オンライン化の促進にも取り組む。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の系統ワーキンググループ(WG、座長=荻本和彦・東京大学特任教授)で委員から大筋で了承された。今後別の審議会で詳細を詰め、今夏にも具体策を示す予定。

 これまで、年間30日まで無制限・無補償で出力が抑制される「旧ルール」では、対象が500キロワット以上の太陽光に限定されていた。しかし、出力制御の頻度・量は次第に増加。18年度の太陽光・風力の総発電量に占める制御量の割合は0.9%だったものの、3月単月では6.4%まで高まっている。

 エネ庁では、現状のままでは必要な制御量や調整力を確保できなくなり、系統運用に支障を及ぼすと指摘。10キロワット未満の住宅用太陽光を除き、500キロワット未満にも範囲を広げることを提起した。九州電力エリアに限れば、6万5千件(210万キロワット)が新たに追加される見通し。

 さらに、オンライン化も進め、制御量の低減に取り組む。オフライン制御は前日の午後4時時点で制御量を確定させた上で、発電事業者自らが当日の午前8時~午後4時までに手動停止しなければならず、需給予測が外れても迅速・柔軟な対応が難しい。

 オンラインでは、当日2時間前まで調整が可能。必要時間帯に限って実施でき、18年度実績として九州電力エリアでは約3割の制御量の削減効果があったという。エネ庁は一般送配電事業者に必要なシステム整備を進めてもらうとともに、まずは特別高圧から順次オンラインへの切り替えを促していく。

電気新聞2019年5月7日