出発式に臨む(左から)東急パワーサプライの村井社長、東北電力の岡信副社長、東急電鉄の巴副社長ら関係者
出発式に臨む(左から)東急パワーサプライの村井社長、東北電力の岡信副社長、東急電鉄の巴副社長ら関係者

 東京急行電鉄、東北電力、東急パワーサプライ(東京都世田谷区、村井健二社長)は25日、再生可能エネルギー100%の電力で東急世田谷線の運行を同日から開始したと発表した。東北電力グループの水力発電と地熱発電の一部を活用し、東急パワーサプライを取次として世田谷線に電力供給する。東北電力と東急パワーサプライが再生可能エネ100%の電力を供給するのは初めて。両社は今後も需要家と個別に協議しながら、環境ニーズに応えていく考え。

 電気記念日である25日に、三軒茶屋駅(世田谷区)で式典を開いた。東急電鉄の巴政雄副社長は、多くの消費者が利用する電車を通じて「低炭素・循環型社会をより身近なものとして考えてもらえれば」と狙いを説明した。東北電力の岡信眞一副社長は「持続可能な社会に向けた環境配慮への社会的ニーズに応え得る取り組み」と意義を強調した。

 世田谷線の2018年度の電力需要は215万6千キロワット時と想定されている。これを再生可能エネ100%で供給した場合、二酸化炭素(CO2)排出量はゼロとなり、削減効果は年1263トンになると試算している。再生可能エネ100%で運行する電車は日本で初めてという。

 東北電力は、世田谷線の需要実績と水力・地熱発電所の発電実績を全時間帯において管理。FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に適用されていない水力・地熱の発電量が需要を上回るようにすることで、再生可能エネ100%で供給していることを証明する。余った電力は他の需要家に販売する。

 東北電力は数社と再生可能エネ100%の電力供給について協議していると明かしたが、標準メニュー化する予定は現時点でないという。

 式典に参加した東急パワーサプライの村井社長は「社会的な意義を踏まえながら今後の展開を検討していく」と述べた。

電気新聞2019年3月26日