送電線建設技術研究会(理事長=松山彰・シーテック社長)が送電線工事元請け本部会員107社を対象とした調査報告書によると、送電線工事に従事する技術員の在籍者数は、2018年10月1日時点で前年比17人減の3897人となった。40歳前後の減少が目立つ一方、65歳以上は増加し、07年統計開始以来初めての200人超え。35~39歳の技術員数を上回った。他世代と比べ30代の層の薄さが目立っている。

 同調査は、本部会員で全国展開する会社の支店が所在する支部ごとに在籍状況を調査。前回調査と比べ、関東、四国、九州で増加した。各支部会員の在籍数は除いた。

 年齢別では、65歳以上は同21.0%増の219人となった。このほか、25~29歳が同0.9%増の460人、30~34歳が同6.4%増の284人、45~49歳が同6.0%増の568人、50~54歳が同3.4%増の366人。07年に29人だった65歳以上の技術員は貴重な戦力として年々増加傾向にある。

 一方、35~39歳は同11.5%減の162人。25歳未満は同3.6%減の378人、40~44歳は同10.0%減の452人だった。特に30代後半は今回調査で65歳以上の技術員を人数で下回り、全世代の最少人数となった。中途・転入組を含む経験年数別でみると、10年未満が全体の34%、30年以上が30%、20~29年が26%。10~19年が16%で、中堅層が最も少ない。

 全国の平均年齢は44.9歳と横ばい。最も若いのが中国の43.0歳、最も年齢が高いのが四国の48.1歳。

 採用者数は388人。このうち新卒採用数は111人、中途採用は71人、自社他部門からの転入は45人、その他が161人。25歳未満の採用が150人と多数。55歳以上の採用は合計97人で昨年を上回った。転出を含む退職者は405人。依願退職が219人と半数を超えた。29歳以下の退職者が121人と全体の3割を占めた。

 送研理事長の認定による上級現場代理人は在籍総数の28%に当たる1094人、現場代理人は20%の802人が保有。各電力会社が独自制度で認定する現場代理人は、東北、関東を除き支部在籍数の6~8割が保有する。

 国家資格の1級施工管理技士(電気、土木の両方か片方)の保有者は全体の51%に当たる1973人。2級施工管理技士のみ保有は同35%の1370人。

 過去10年間で22万V以上の送電線工事を経験した技術員で、鉄塔工事の現場代理人経験者は363人で全体の9%。架線工事の現場代理人経験者は490人で同13%。技術員経験者も増加傾向で、電線張り替え工事を経験した影響とみられる。

電気新聞2019年3月25日