「水力館」の完成イメージ。外観は奥会津の山の連なりを連想させる
「水力館」の完成イメージ。外観は奥会津の山の連なりを連想させる

 東北電力は、福島県金山町に「東北電力奥会津水力館」を建設することを決めた。同社初の本格的な水力発電PR施設として4月の着工、来年5~6月頃の竣工を目指す。館内には只見川水系の電源開発に尽力した白洲次郎・初代会長の愛用品やエピソードを紹介する「水力歴史ルーム」(通称・白洲次郎ルーム)や、只見川を一望しながらくつろげるカフェスペースなどを設ける。東北電力は「水力館」を通じて、奥会津地域における水力発電の歴史的意義などを広く知ってほしいと期待している。

 東北電力は国内最多となる209カ所の水力発電を保有。とりわけ奥会津を流れる只見川水系では、草創期から大規模な電源開発が行われて戦後の復興を電力供給の面から支えた。現在も水力発電の総出力の3割を担う重要な電源立地地域だ。

 新たに建設する「水力館」は、金山町にある道の駅「奥会津かねやま」に隣接した場所に整備。館内には(1)電源開発の歴史的経緯と白洲次郎・初代会長の人物像などを紹介するスペース(2)只見川と水力発電所をモチーフとした巨大ステンドグラスを設置するギャラリー(3)水力発電の仕組みや奥会津の地形をジオラマなどで紹介するコーナー(4)只見川に面し、四季折々の景色を望むことができるカフェ――などを設ける。

 屋根の軒のラインが奥会津の山の連なりをイメージさせるなど、周囲の景観と調和するように外観の設計にも工夫を凝らした。

 奥会津地域で水力発電のPR施設を整備する基本構想は2010年11月に公表していたが、11年3月に発生した東日本大震災の影響などで繰り延べになっていた。東北電力は「水力館」が地域に親しまれ、観光客の増加といった地域活性化に貢献する施設になるよう努めていく考えだ。

電気新聞2019年3月11日