開発を完了した手動操縦式ドローン
開発を完了した手動操縦式ドローン

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は12日、火力発電所のボイラー内部を点検できるドローンを実用化すると発表した。既に手動操縦式のドローンは開発が完了しており、4月から点検サービスの提供を開始する予定だ。現在は自律飛行式ドローンの開発も進めており、2020年度中の実用化を目指す。自律飛行式をボイラー内部のような特殊環境で運用する技術はまだ確立されておらず、実現すれば画期的な技術となる。

 MHPSは16年度にボイラー内部点検用の手動操縦式ドローンを開発し始めた。独自の耐衝突技術と耐環境技術を活用し、三菱重工業の支援も受けて実機による検証試験などを実施してきた。この開発は昨年12月に完了しており、4月からサービスを提供できる。

 自律飛行式はドローンの研究開発を手掛けるALIテクノロジーズ(東京都港区、小松周平CEO)と共同で17年度から取り組んでいる。昨年9月には試作機を使った基礎技術の検証を実施。一般的な衛星利用測位システム(GPS)などを使わずに自律飛行できることを確認した。

 これまで目視が中心だったボイラー内部の点検にドローンを活用することで、作業の効率化が見込める。MHPSは設備の停止期間を短縮したり定期点検までの間隔を引き延ばせたりするほか、緊急時に迅速で的確な対応を取る際に役立つと見ている。

 同社はドローンを用いる発電所内部の検査技術を開発し、アフターサービスを高度化したい考え。国内では火力の新設案件が停滞し、重電メーカーの間で保守などアフターサービスの競争が激化している。受注競争を勝ち抜くためにはドローンやロボット、デジタル技術の活用といった付加価値の創出が鍵を握りそうだ。

電気新聞2019年3月13日