経済産業省は、昨年夏からの自然災害で、太陽光や風力など再生可能エネルギー電源の設備被害が相次いだことを踏まえ、対策の具体化を進めている。11日の作業部会でその進捗状況を報告。太陽光発電設備では破損・浸水などが発生したことから、斜面など特殊な環境に立地している設備に対して新たに基準を設ける。浸水の恐れのある設備には、高台への移設を求めるなど必要な対応を促す。風力発電設備については、兵庫県淡路市で発生した風車の倒壊事故を巡り、事業者などから原因と再発防止策を聴取した。

 昨年夏に発生した西日本豪雨や台風21号では、太陽光・風力発電設備を中心に被害が広範に及んだ。出力50キロワット以上の事業用太陽光では、立地場所の浸水・土砂崩れによるパネルやパワーコンディショナー(PCS)への被害が多く、強風によるパネルの飛散・破損も目立った。

 経産省では設置面や法面の崩壊には、立地場所が斜面か、切り土・盛り土が施されているかなど環境に応じた技術基準を検討。土木関係を含め知見を収集する。水没・高潮や強風への対策としてはPCSを高台に移してもらったり、架台と同様にパネルも耐風圧を考慮したものを選んでもらうよう設置者への周知を徹底する。

 一方、風力発電設備に関しても、昨年夏以降、設備被害が発生。産業構造審議会(経産相の諮問機関)新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ(WG、座長=勝呂幸男・横浜国立大学産学連携研究員)で現在、事業者からのヒアリングを続けている。

 11日の会合では、昨年8月に兵庫県淡路市で発生した風車の倒壊事故を巡り、設置者である第三セクターのほくだん、所有者の淡路市が事故原因と再発防止策を説明した。

 事故発生時に主電源用開閉器が「切」になり、電源供給が途絶していたため、風車の制御ができなかったことが原因と推定。風荷重が増加し、基礎がそれに耐えきれなくなったことから、倒壊に至ったと結論付けた。

 また、関係者間で開閉器に対する誤った認識があり、情報共有体制にも不備があったと説明。担当者の教育を充実させたり、保安規程を修正して再発防止に努めるとした。市は最終報告書を月内にもまとめる予定で、経産省も水平展開が必要な点を洗い出し、次回以降のWGで報告する考えだ。

電気新聞2019年3月12日