実証試験に採用されたDDR型ゼオライト膜。CO2の分離・回収で用いられるのは世界初
実証試験に採用されたDDR型ゼオライト膜。CO2の分離・回収で用いられるのは世界初

 日揮は25日、セラミック製のゼオライト膜を活用した二酸化炭素(CO2)分離・回収技術の実証試験を米国テキサス州で開始すると発表した。日本ガイシと共同開発したゼオライト膜は1ナノメートル(10億分の1メートル)以下の微細な穴を多く持つのが特長。ちょうどCO2を通す大きさなので、原油生産時に出てくるメタンなど他のガスから分離できる。実証では、その効果を検証する。2月から試験設備の設計と建設を開始し、2020年の完成を予定。それから約1年かけて実証に取り組む。

 CO2の分離には高分子膜を用いるのが主流だが、CO2濃度と圧力の高いガスを処理すると劣化が早まり分離性能が低下しやすい欠点があった。日揮と日本ガイシが開発したゼオライト膜はCO2濃度が高くて80気圧の高圧ガスでも、高いCO2分離性能を維持。耐熱性にも優れ、高温下でも使用できる特長を持つ。日本ガイシが開発した浄水用途向けの技術を応用したという。

 分離膜は直径18センチメートルで全長1メートルの筒状。内部構造は内径2.4ミリメートルのセル約1600本を配置した蜂の巣状となっている。この膜の端から高濃度のCO2を含むガスを通すと、CO2が膜の側面にあるナノレベルの微細な穴を通り抜けて筒の側面から排出する仕組みだ。メタンガスなどは分子が大きいためナノレベルの微細な穴を通り抜けず、そのまま筒の端から出てくるのでCO2だけを取り除ける。

 実証設備は油田回収設備の隣接地に設置する。実証は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同事業。現地でCO2回収の効率性や有効性を確認する。

 回収したCO2を地下の油層に圧入すると、油層内に残る原油にCO2が溶けて粘り気を低くする効果を持つ。それだけ流動性が良くなり、原油の回収率も高まるという。圧入したCO2は大気に発散せず地中に残る貯留効果もある。混合ガスから分離したメタンガスは燃料として販売できる可能性が生まれる。

 CO2を油層へ圧入して残量を回収する技術は米国や東南アジア、中東諸国でも導入や適用拡大が検討されている。マレーシアなどでも高濃度CO2を含むガス田が存在しており、日揮などはゼオライト膜の需要が高まると考えている。

電気新聞2019年2月26日