◆既設4変電所に
日立製作所と日立エナジーは9日、中部電力パワーグリッド(PG)からSF6(六フッ化硫黄)ガスフリーの30万V遮断器5台を受注したと発表した。中部電力PGがエリア内の4変電所で2028年度以降に順次運用開始する。27万5千V以上の単体遮断器にSF6ガスフリー機器を採用するのは国内初。従来のSF6ガス遮断器と比べて、温室効果ガス排出量を99.3%低減できる見通し。
SF6ガスは高い絶縁性能を持つ半面、地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)の約2万4千倍と高い。欧州などでは環境規制により、SF6ガスフリー機器への移行が進む。日立エナジーはSF6ガスの代わりに、温室効果がCO2の約400倍のフルオロニトリル(C4FN)を使用した開閉機器や遮断器を「EconiQ(エコニック)」ブランドで展開している。日立と日立エナジーはエコニック遮断器の提供により温室効果ガス排出量低減に貢献する。
両社が今回受注した遮断器の納入先は、中勢変電所(津市)、西濃変電所(岐阜県本巣市)、東信変電所(長野県上田市)、三河変電所(愛知県豊橋市)の4カ所になる見通し。いずれも既存の遮断器からの置き換えを予定している。
中部電力PGは同日の発表で、今後の27万5千V以上の単体遮断器について、SF6ガスフリー機器を採用することを決めたと明らかにした。7万7千V以下のガス絶縁開閉装置(GIS)でも、ドライエア絶縁と真空遮断器を組み合わせたSF6ガスフリー機器を試行的に採用していく計画とする。
中部電力PGは22年策定の事業計画で、25年度以降の7万7千V単体遮断器の更新時は全てSF6ガスフリーの機器を採用するとしており、今回の発表でSF6ガスフリー機器の採用対象範囲を拡大した形となる。
一方、15万4千Vの単体遮断器と15万4千V、27万5千V、50万VのGISについては現時点では要望に合致するSF6ガスフリー機器が存在しないとしている。メーカー各社の機器開発動向を見極めながら採用する機器を選定する方針。
電気新聞2024年12月10日
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