展示会は初日から最終日までにぎわいが続いた。核融合の展示エリアに足を踏み入れた人々は、大きく3つのグループに分かれているように見えた。
まず第1のグループは、核融合業界関係者や、核融合ビジネスへの参入を狙う人々だ。能動的に各社のブースを回り情報収集し、自社の新規事業として参入口を見いだそうとしたり、出展企業のセミナーに積極的に参加し核融合発電実証時期の話に耳を傾けたりしていた。投資家の姿も散見された。
第2のグループは、技術の基礎を学びに来た人々だ。近年核融合のニュースを耳にする機会が増えたものの、それだけでは咀嚼(そしゃく)しきれない情報を整理されていた。
第3のグループは、他の展示会のついでに立ち寄られた方々。ニュース、あるいはSF映画やアニメなどで、一度は核融合を耳にしたことがあったのだろう。既に産業競争が始まっていることを伝えると、「もうそんな状況にあるとは」と驚いていた。
今回参加してわかったのは、核融合産業化の波が既に押し寄せているという情報が、関係者の中でしか浸透していないということだ。展示会は良い対話の場になったと感じた一方で、核融合を知らない人たちに今後どう伝えていくかは、核融合発電の社会実装に向けた業界全体の大きな課題であり、筆者の課題でもある。