関西電力は29日、オリックスと共同で和歌山県紀の川市で建設を進めていた「紀の川蓄電所」が運開し、12月1日から電力市場で取引を始めると発表した。両社初の系統用蓄電所。出力4万8千キロワット、容量11万3千キロワット時で、稼働中の蓄電所では国内最大級となる。関電グループが市場取引を通じて収益を最大化するよう運用し、オリックスグループがO&M(運転・保守)を担う。
関西電力送配電紀の川変電所所内の敷地約8千平方メートルにTMEIC製のリチウムイオン蓄電池コンテナ64台を設置し、試運転を行っていた。電力の余剰時に充電し、不足時に放電する。1日1サイクルの充放電をした場合、一般家庭1万3千世帯の1日の消費電力を賄える。
蓄電所は関電とオリックスが設立した合同会社が保有し、関電グループのE―Flow(イーフロー、大阪市、川口公一社長)が市場取引を担当。AI(人工知能)を活用し、需給調整市場、卸取引市場、容量市場の動向を踏まえた最適な取引を行う。O&Mはオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント(OREM、東京都江東区、佐藤厚範社長)が担う。
取引開始に先立つ29日に現地で開所式を開き、関電の藤野研一副社長やオリックスの高橋英丈取締役・専務執行役など関係者約30人が出席した。あいさつした高橋氏は「紀の川蓄電所をロールモデルに、関電と連携を取りつつ今後の蓄電所の計画を進めていきたい」と話した。
式典後取材に応じた藤野副社長は「再エネの拡大速度に蓄電所の導入計画が追いついていない」と指摘。「紀の川蓄電所で運用実績を積み、さらなる蓄電所の導入につなげたい」と述べた。
電気新聞2024年12月2日
>>電子版を1カ月無料でお試し!! 試読キャンペーンはこちらから