石塚 社長

 日揮ホールディングス(HD)は、EPC(設計・調達・建設)遂行体制の立て直しを着実に進めている。ローカルEPCの管理を日揮グローバルに集約する方針の下、アジア太平洋地域の営業・プロジェクトの統括機能を日揮グローバルに担わせる。現地エンジニアは日揮グローバルに戻すことで、設計のリソースに厚みを持たせる。インドネシアとサウジアラビアの子会社は機能を縮小し、手持ち案件の完工に集中する。

 12日の決算会見に併せて具体的な対策を公表した。

 日揮HDは中期経営企画や長期経営計画を踏まえ、日揮グローバルを中心に事業の多角化を推進。地産地消型のプロジェクトを強化して事業拡大を目指す「リージョナル経営」にも取り組んできた。

 数多くの事業化調査(FS)を受注したものの、日揮グローバル本体の設計リソースで十分にさばききれず、設計品質が乱れた。スケジュールにも遅延が発生し、採算性も悪化。インドネシア、サウジアラビアの両子会社でも同様の事態が生じた。

 EPC事業のつまずきは2023年度の最終赤字の原因となっており、収益安定化が急務となっている。

 対策として日揮グローバル本社全体で人材配置を見直し、利益の実現性などを基準に選別受注も徹底。7月には日揮グローバルの組織改定も実施した。

 「リージョナル経営」にもブレーキをかける。現地子会社の機能を縮小し、ローカルEPC案件の条件精査などの業務は日揮グローバルに集約した。

 12日夕の会見で石塚忠社長はEPC遂行体制の見直しを踏まえ、「一部グループ会社は機能の縮小や統廃合も含めて役割の再定義も進めている」と話した。

電気新聞2024年11月14日