政府の電気・ガス代支援が10月使用分で終了する。酷暑乗り切り支援として夏季に実施したが、自民党と公明党は経済対策の一環として継続する意向だ。衆院選で過半数割れした自公は、野党の物価高対策とすりあわせながら内容を検討することになる。
石破茂首相は28日の会見で「政治改革や経済対策の課題に先頭に立って取り組む」と続投に意欲を示した。一方、「極めて厳しい審判を頂いた」と指摘。「議席を大きく伸ばした党がどのような主張をして国民が共感と共鳴をしたか。政策で私どもの足らざる所に積極的に取り入れていきたい」と野党に歩み寄る考えを述べた。
自民は衆院選公約で電気・ガス料金、燃料費高騰対策と合わせ、物価高騰の影響を受ける事業者や低所得者、地方にきめ細かく対応する方針を示した。公明は電気・ガス料金、ガソリンなど燃料費の支援を続けると政策集に盛り込んだ。公明の石井啓一代表は10月、会見で「支援がいったん切れても、寒い時期に電気・ガス代は増えるため支援を継続したい」と話していた。
支援内容や財源次第で野党との調整が必要となる。日本維新の会は景気対策として、電気料金の現下の高騰に適切に対応すると唱えた。消費者の省エネ・節電へのインセンティブが働く激変緩和制度の導入を掲げた。
国民民主党は特別高圧を含めて電気代支援を継続するとし、政府の補助より対象が広い。ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除や、再生可能エネルギー賦課金徴収の一定期間停止も打ち出す。
武藤容治経済産業相は29日の閣議後会見で国民民主の政策の実現性を問われ、トリガー条項凍結解除は「ガソリンスタンドや元売りで大きな事務負担、資金負担が生じるほか、販売流通現場の実務上の負担といった課題への解決策が見いだされていない」と指摘した。再エネ賦課金には「仮に徴収を停止しても再エネの導入拡大には何らかの形で国民負担が必要となる」とし、現行制度のまま運用する方針を明言した。
電気代・ガス代の補助はこれまで、消費者や企業に一律に支給してきた。従来と同じ補助であれば早期に再開しやすい。低所得者に絞るなど仕組みを変えればシステム対応の確認などに時間を要し、冬季の開始に遅れる可能性がある。ただ、電気代・ガス代とガソリンを合わせた政府補助の予算は累計で11兆円以上と巨額に膨らんだ。脱炭素に逆行し、省エネなどの抜本的な対策に充てるべきとの批判も根強い。同じ内容で補助を再開すれば、批判が再燃しかねない。
電気新聞2024年10月30日
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