電力広域的運営推進機関(広域機関)は23日の有識者会合で、冬の高需要期を念頭に追加供給力対策の実施順位を入れ替えることを提起した。経済性などを考慮し、需給逼迫時に揚水発電の運用切り替えや火力の増出力運転といった対策を打つタイミングを改め、実効性を高める。広域予備率の算定方法も一部見直し、週間・翌々日計画断面で数字が低下するのを防ぐ。
同日の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(委員長=大橋弘・東京大学大学院教授)に事務局が示した。
追加供給力対策は広域予備率の低下に伴い、リスクを勘案しつつ一般送配電事業者が行う。現行の実施順位は回数に制限があったり、発電設備に負荷をかけたりする対策が上位で、見直しの必要性が指摘されていた。
広域機関は当面の暫定措置として、揚水発電の一般送配電事業者への運用切り替え、余力活用電源の追加起動を現行の広域予備率5%から8%に引き上げる。ただ、発電事業者や小売電気事業者の市場メカニズムを介した行動の妨げとならないよう、翌日計画公表以降に限定する。
経済性や設備の制約を踏まえ、火力電源の増出力運転は8%から5%に順位を下げ、発動指令電源の発動後に実施する。8%未満の対策は揚水発電の運用切り替え、安定電源への電気の供給指示、余力活用電源の追加起動の順に講じる。
広域予備率の算定方法も変える。今夏は週間・翌々日計画の広域予備率がエリアによって極端に低下する傾向があった。需給調整市場での取引前や未達の調整力が供給力に計上されていないのが一因だ。このため、当面は前日商品の3次調整力(2)や余力活用などの見込み分を、調整力必要量として供給力に織り込む。ツールの改修など準備期間も考慮し、2025年1月中の運用開始を目指す。
揚水発電の余力活用は、現在中部エリアで行われている随意契約の拡大なども視野に今後電力・ガス取引監視等委員会と詰める。
電気新聞2024年10月24日
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