NTTアノードエナジー(東京都港区、岸本照之社長)は20日、再生可能エネルギーを配電網に接続しやすくするシステムを開発したと発表した。配電網は電気を流せる容量が小さく、再エネを十分に受け入れるのが難しい。システムはスマートメーターのデータを基に、再エネの発電量が膨らむ時間帯の電気を蓄電池にためて配電網への負担を抑える。同社は一般送配電事業者へのシステム販売や、自ら配電ライセンス事業を手掛けることも検討する。
システム名は「Internet of Gridプラットフォーム(IoGプラットフォーム)」。同社と大崎電気工業、NEC、三菱電機、IoT事業を手掛けるACCESS、NTTグループのNTTテクノクロス、NTTテレコン、NTTデータ東北の計8社が開発に携わった。
IoGプラットフォームでは新たに開発したスマートメーターで、系統電流や電圧などの潮流データを把握する。太陽光の発電量が増える昼間などに、電力系統の電圧が上がったり、流れる電流が大きくなったりしそうな場合を予測して蓄電池を充電する。
蓄電池にためた電気は卸電力取引市場や需給調整市場、容量市場を活用して収益化できる。停電した際の非常用電源としても使えるようにする。
IoGプラットフォームのスマートメーターは、新たな機能を搭載できる「サービス基盤」を内蔵する。HEMS(家庭用エネルギー管理システム)を介さずに家庭の機器とスマートメーターが直接つながることも可能になる。スマートメーターから電気給湯器の沸き上げ時間を変えるよう指示して、再エネの発電量が増える時間帯の電力需要を増やすといった取り組みが展開できる。このほか、水道やガスの共同検針の実現も目指す考えだ。
NTTアノードエナジーは今月から3カ月間程度、岐阜県八百津町でシステムを実証する。八百津町やNTTの施設に計5台のスマートメーターを設置し、必要に応じて再エネの電気を容量350キロワット時の蓄電池1台にため、配電網の電圧が上がらないようにする。
IoGプラットフォームを活用したビジネスモデルについて、NTTアノードエナジーは検討段階と説明する。
電気新聞2024年9月24日
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