電力先物を駆使する新電力が存在感を増している(写真は電力先物の週間商品の取引開始を表示する電光掲示板)


◆電力先物駆使しリスク回避/料金固定、法人ニーズ応える

 「市場連動型プランを提供するかは議論しているが、市場価格が高騰すればお客さまに負担を掛ける。市場連動メインに販売することには反対している」。法人を顧客とする新電力首脳は、好調な市場連動型プランにどう対抗するか、頭を悩ませる。

 かつてのエネルギー危機が嘘だったかのように、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格は平静を取り戻した。電気代を安くしたい企業の求めに応じやすくなり、市場連動型プランを提供する新電力にとって追い風となっている。

 ただ、価格高騰の懸念が消え去ったわけではないと理解する需要家も多い。ある新電力幹部は「確かに価格面を優先し、市場連動を求める企業もなくはない。一方でそこまで安くなくても、固定単価の料金の方が良いというお客さまの方が多い印象だ」と語る。

 価格変動のリスクを需要家側で選べるようにするため、料金プランの多角化に乗り出す小売電気事業者も出てきた。東京電力エナジーパートナー(EP)は2024年度から高圧以上の標準メニューについて、卸電力市場価格の変動度を0%、約30%、100%から選択できるようにした。

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