トイレの空き状況を示すスマホ画面の一例
トイレの空き状況を示すスマホ画面の一例

 東京電力グループのテプコシステムズ(テプシス、東京都江東区、矢野正吾社長)は、オフィスの生産性向上を支援するサービスに力を入れている。高感度センサーを使い、会議室やワークスペース、トイレの利用状況、役員の在席状況などを見える化することで“無駄足”や待ち時間を減らすものだ。「IoT(モノのインターネット)センシングサービス」の名称で昨年11月から本格展開しており、2020年度末までに1億円の売り上げを目指す。

 トイレの適用例では、個室の扉に開閉センサーを設置。従業員は自席のパソコンやスマートフォンで空き状況を確認できるので、切羽詰まりながら上下階を探し回るような事態を減らせる。従業員数や男女比率にもよるが、個室が少ない男性用トイレでニーズが高いようだ。

 表示する端末や画面は要望に応じてカスタマイズする。テプシスでは、男性トイレについて各フロアの個室ごとに表示。利用時間が20分を超えると緑色から赤色になり、異変の可能性を知らせる。

 これまでに東京電力ホールディングス本社ビルなどで採用されたほか、複数社が関心を示している。トイレが混雑しやすい公共施設、店舗がデジタルサイネージで空き状況を周知するといった使い方も考えられる。

 IoTセンシングサービスに乗り出した当初の目的は、会議室の効率的な利用だった。テプシスは会議室の予約・利用実績を部署別に毎月公開することで、予約しても実際には利用しなかった「カラ予約」を2割削減できた。

 近年は席を固定化しなかったり、様々なワークスペースを設けたりする企業が増えているが、リアルタイムで空き状況が分かれば席を探す無駄が省け、生産性や従業員の満足度向上につながる。利用状況の分析結果はレイアウトを最適化するヒントになる。

 また、人感センサーを役員室に取り付けて、スケジュール表では分からないリアルタイムの在席状況を示すサービスも準備している。

 IoTセンシングサービスの利用料金は、EnOcean規格のセンサー10台(ゲートウェー含む)を使う場合で月額3万~4万円程度。テプシスの担当者は「会議室やトイレの悩みを抱える企業は少なくない。働き方改革にもつながるオフィスのスマート化に貢献したい」と売り込みを強める構えだ。

電気新聞2019年1月30日