SAPジャパン(東京都千代田区、鈴木洋史社長)が、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業を表彰する「SAPジャパン カスタマーアワード2023」を、中部電力グループの中電シーティーアイ(中電CTI、名古屋市、伊藤久徳社長)が受賞した。電力業界による受賞は初めて。7月末に都内で開かれた表彰式に出席した伊藤社長は「業界初受賞は本当に光栄なこと。前向きに改革しようという社員の意欲の賜物だ」と喜びを語った。

 今年度のカスタマーアワードは6部門・7社を表彰した。中電CTIは「Customer Success Value Realization」部門で受賞した。

 同社はDXの進展に伴い深刻さを増すIT人材の需給ギャップを克服するため、19年10月からIT人材の質・量を高める「CTI改革」を進めてきた。

 改革では全社員のスキル底上げによる「機能強化」、海外拠点などを活用し、新領域に取り組む余力を生み出す「リソース強化」を2本柱と位置付けた。初期から携わった中電CTIの植田素史・営業本部営業コンサルティング部長は「この5年間で400人近い高度IT人材が生まれ、中部電力グループのDX推進に貢献できるようになった」と改革の手応えを語った。

 改革を通じてSAPの各種クラウドソリューションを導入し、経費精算システムの標準化、調達業務の可視化などを実現した点も評価された。深川陽子執行役員・パッケージソリューションリージョン長は「従来は保守工程でのシステム開発を担当することが多かったが、ベンダーとともに導入初期から大型プロジェクトにかかわる貴重な経験になった」と振り返った。

電気新聞2024年8月19日