東京電力パワーグリッド(PG)と中部電力PGの2社は23日、メーカーの工場から事業拠点までの製品輸送を一部共同化する実証を始めると発表した。東日本にあるメーカーの工場から、2社向けの柱上変圧器を同じトラックで出荷する。まずは静岡県清水町にある東電PGの拠点まで運び、中部電力PG向け製品はその拠点で新たなトラックに積み替えて、愛知県の拠点まで輸送する。23日から8月8日まで実証し、効果や課題を確かめる。早ければ2025年度から共同輸送を実運用したい考え。
物流業界では、4月からトラック運転手の時間外労働時間の上限が年960時間に規制された。この「物流24年問題」による運転時間の制約で、電力業界を含む産業界は、資機材輸送の滞りを懸念している。
東電PGも中部電力PGもそれぞれでロジスティクス(物流)改革を進めていたが、課題が一致することもあり、共同の実証に乗り出した。メーカー側が輸送を共同化する取り組みは広がっているが、発注者側、調達側が連携するのは珍しいとする。
実証ではメーカー2社の工場から、東電PGと中部電力PG向け柱上変圧器を同じトラックで輸送する。これまでそれぞれの会社でトラックを走らせてきたが、荷物がトラック満載にならないケースが大半だったという。まずは共同で東電PGの沼津資材センター(静岡県清水町)まで積載率を高めた状態で運び、輸送費用の低減効果を確かめる。
中部電力PGは、同センターから愛知県内の積み替え拠点まで運んだ後に、各工事会社に輸送する。拠点にいったん持ち込むことで、東日本の工場から中部エリアの拠点までの輸送時間が増える懸念もあるが、実態を実証で確かめる。
実証では、愛知県の積み替え拠点にたどり着いたトラックも活用。東海圏のメーカーが生産した東電PG向け柱上変圧器をこのトラックに積み、沼津資材センターに運ぶ。荷物がない状態で走る「空荷」にならないようにする。
8月8日まで週に1回程度共同輸送を実証し、課題を洗い出す。物流の効率化成果が出れば、他の電力会社にも発信する予定。
電気新聞2024年7月24日
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