SF6ガス不使用の8万4千Vドライエア絶縁開閉装置(イメージ)

 三菱電機は17日、六フッ化硫黄(SF6)ガスを使わない8万4千Vガス絶縁開閉装置(GIS)の初号機を関西電力送配電から受注したと発表した。2026年3月に岩田変電所(京都府八幡市)に納める予定。三菱電機によると、温室効果ガスを使わないGISの開発において、主要部品である真空バルブと真空遮断器の2つを自社で開発したのは国内で初めて。

 現在の開閉機器に使用されているSF6は地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)の約2万4千倍と極めて大きく、代替技術による排出削減が求められている。欧州や北米では環境規制も進んでおり、EUではフッ素ガス規制の改正によりSF6ガスの使用が禁止される見通し。米カリフォルニア州でもGISからのSF6ガス排出抑制規制に基づくSF6機器の段階的な廃止が予定されている。

 今回三菱電機が開発した「8万4千Vドライエア絶縁開閉装置」は、SF6ガスの代替として高圧ドライエア(乾燥空気)による絶縁方式を採用している。自然由来のドライエアは地球温暖化係数がゼロで安全性も高い。これに同社が1965年に製品化した真空バルブによる電流遮断を組み合わせることで、環境負荷の低減に貢献するGISを実現した。

 従来のSF6ガス機器では、機器から排出されるごく少量のガスを記録・報告し、廃棄時にはガスを回収する必要があるが、新製品ではこうした保守点検作業も不要になる。

 三菱電機は「今後も温室効果ガス不使用の製品ラインアップを拡充し、国内外の様々な地域で電力系統の安定化を支援する」としている。

電気新聞2024年7月18日