
東京エリアで8日、高気温に伴う電力需要の増加で需給が逼迫した。広域予備率は同日午前に3%台にまで低下。電力広域的運営推進機関(広域機関)は午前9時~正午に20万キロワット供給するよう、中部電力パワーグリッド(PG)に電力融通を指示した。複数の火力電源が計画外停止しており、供給力が万全でなかったことも影響したようだ。
8日の東京エリアでは午前中から気温が上昇した。午後1時台には東京都府中市で39.2度、練馬区で38.1度を観測。猛烈な暑さとなった。
冷房利用が広がったとみられ、東京電力PGによると、最大電力は午後2時台に5487万キロワットとなり、今夏最大を記録した。前日までの広域予備率には余裕があり、「需給ひっ迫注意報」や「需給ひっ迫警報」の発令は見送られた。
広域機関は融通に際して東京中部間連系設備(FC)のマージンを開放して対応した。さらに需給改善を目的に、発電事業者に対して電源の焚き増しを要請。小売電気事業者には経済DR(デマンドレスポンス)や需要家への節電要請などを通じて電力需要を抑制するよう求めた。
需給逼迫に卸電力市場も反応した。8日受け渡しのスポット価格(システムプライス)は24時間平均が18円45銭、ピーク平均が27円61銭だったのに対して、1時間前市場では午前中から50円を超える高値約定が相次ぎ、午後に入ると80円を超えるコマもあった。不足する電力を市場調達で補ったとみられる。
需要の伸長に電源の脱落が重なったことも需給逼迫の要因になった可能性がある。日本卸電力取引所(JEPX)の発電情報公開システム(HJKS)によると、東京エリア内では、川崎天然ガス発電所2号機(41万3千キロワット)、鹿島共同発電所5号機(30万キロワット)が8日午前に計画外停止した。5日には広野IGCC発電所(54万3千キロワット)も計画外停止していた。
発電事業者は梅雨明け後の夏本番をめがけて供給力を積み増している。途上にある中で需給が厳しくなっている実態もある。
8日は中部、関西、中国、四国、九州の各エリアでも今夏最大電力を記録した。
電気新聞2024年7月9日