東洋エンジが考案した新基礎のイメージ図

◆養生期間も短縮、運用・保守をセット提供

 東洋エンジニアリングは、ソーラーカーポートの工費をおよそ半分に減らす基礎を開発した。地中の基礎に単管を斜めに打ち込み構造を強固にした上で、コンクリート使用量を減らし、養生期間を短縮する。系統電力の倍程度と割高なソーラーカーポートの電気料金を系統電力以下にすることを目指す。保険や運用・保守(O&M)と組み合わせたサブスクリプション(定額課金)サービスとして新たな事業の柱に育てる。

 ソーラーカーポートは太陽光パネルを載せる屋根が大きくなる。このため、強風に耐えられるように柱の基礎をコンクリで固めるのが一般的だ。養生作業に1~2週間を要する場合もある。工費が膨らむ上、コンビニなどの小売店舗にとっては工事期間中に客足が遠のくリスクもあり、導入障壁となっていた。

 課題を解決するため東洋エンジは、地中の基礎に用いる単管を斜めにする設計を開発した=写真。屋根を支える柱は地面から垂直に立つが、基礎の単管を水平から60度傾けて打ち込む。垂直にまっすぐ打つよりも、上からの圧力や、引っ張る力に強くなり抜けにくくなる。一つの基礎に対して単管を4~8本差し込み、求められる強度に応じて本数を増やす。震度7の地震や、時速15キロメートルの乗用車の衝突にも耐えることも可能になるという。

 基礎の構造を強化することで、コンクリの使用量を建築基準法で鉄柱に求められる最小限に抑えられる。工期は最短で3日間に抑えられるという。東洋エンジはソーラーカーポートの基礎技術を特許出願した。

 東洋エンジは電気料金に加えてO&M、保険をセットにしてサブスクで提供する。コンビニなど複数店舗を抱えるチェーン店の管理負担を軽減する。初期費用をなくし、導入の障壁を下げる狙いもある。電気料金の上昇リスクを抑える利点も訴求する。

 国道沿いで駐車場を構える小売店舗に提案していく。地域で集中して出店するコンビニなどがターゲットだ。駐車場が標準化されているため工事計画を立てやすくなり、工費を抑制できるのもメリットだ。コンビニは災害時に地域の復旧拠点としての役割を期待される場合も多く、自家消費型の太陽光を非常用電源に使える点をアピールする。

 まずはソーラーカーポートの発電量を全て自家消費できる需要家を開拓する。すでに屋根上に太陽光パネルを置いている店舗など、発電量が需要以上になる店舗には蓄電池を組み合わせた提案もしたい考えだ。

 大型太陽光の開発適地が限られる日本において、駐車場という土地を有効活用して再生可能エネルギーの普及につなげる。東洋エンジはソーラーカーポートを、燃料アンモニアや地熱発電と並ぶカーボンニュートラル事業の3本柱に位置付ける。

電気新聞2024年6月18日