◆小型、軽量化実現、作業効率高め
ユアテックは、停電を伴わずに配電工事を行う「無停電工法」が主流となる中、この工法で使う工事用変圧器について、小型・軽量化を実現した「SC型変圧器」の配備を進めている。工事に当たり、変圧器を電柱に吊り上げて設置する際の扱いやすさと作業性が格段に向上した。2019年の本格導入以来、今年4月までに53台を現場に展開するなど、着実な広がりを見せている。
開発に当たった同社配電部の杉崎悦久氏は「これ以上の軽量化はなかなか難しいと思う」と話す。SC型変圧器はぎりぎりまで軽量化を図った。
開発のきっかけは現場の声だった。従来の「PU型変圧器」は50kVAと30kVAの2台を収容し、重量は950キログラムある。
無停電工法の際に電柱に設置する場合は、現場までトラックで運び、電柱に上げ下ろしする。重量規制からクレーン車など大型車両が必要で、住宅街など道が狭い現場では上げ下ろしが難しい。こうした状況から、小型かつ軽量の変圧器が求められていた。
SC型変圧器の開発には16~18年の3年間を要した。30kVAと20kVAの変圧器2台を内蔵する。PU型に比べ容量は減るが、平均的な配電設備の使用状況からすると十分に対応可能。重量は高所作業車で吊り上げられる460キログラム。PU型と重量を比較して52%の削減を実現した。外装を鉄からアルミに変えたことが1番の効果となった。
現場ではクレーンの手配が不要になり、高所作業車を使って工事の前日に電柱に上げておけば、当日の作業を省ける。現場にクレーン車を導入すると、停車する場所の確保や安全対策が必要で、これらの対応に時間がかかった。
現場からは「事前準備として柱上に設置するメリットは大きい。当日の作業が減り、作業員の精神的な負担も軽減できる」などの意見が寄せられている。
SC型変圧器は、施工効率化の特長が認められ、22年度の第67回澁澤賞を受けた。杉崎氏は「携わった者として評価いただいたことは大変うれしく思っている」と振り返る。今後の展望については「PU型とSC型を現場によって使い分けし、さらに効率化を図りたい」としている。
電気新聞2024年5月10日
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