電池異常時に発生するガスを検知する複合環境センサー「MES―92」

◆リチウムイオン電池異常、発生ガスから検知

 日新電機は、リチウムイオン電池が異常時に発するガスを検知し、火災予防などにつなげるガスセンサーの販売を4月に始める。新型センサーは東京電力ホールディングス(HD)との共同開発。電気設備などの設置環境を可視化する複合環境センサーシリーズの新製品としてラインアップする。ガス検知時に外部通報する機能を備え、トラブルの早期発見・防止に貢献する。

 25日に発表した。再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、ピークシフト対応に不可欠な蓄電池の需要が急速に高まっている。一方、導入が先行する海外ではリチウムイオン電池の異常による火災事故が増えている。このため、IEC(国際電気標準会議)やJISは、火災や蓄電池の異常時に発生するガスを検知し、外部通報する機能を設備に付加するよう規定している。

 同社はこうした設備の安全性確保と規格準拠のニーズを受け、新製品「複合環境センサMES―92/93」を東電HDと共同開発した。東電HDから蓄電池システム構築についてのニーズや運用技術の提供を受け、日新電機が製品開発を担った。同社は販売も行う。

 新型センサーは電池異常時に発生する水素やハイドロカーボン、一酸化炭素などのガスに高感度な半導体センサーを採用。独自のセンサーデータ出力処理方法により、検知精度を高めた。センサー交換が長期間必要ないのも特徴で、安価かつ容易に外部通報システムを構築できる。

 あわせて電気設備内に3点の温度センサーを設置し、局所監視により異常加熱やその予兆を検知する「MES―72/73」も、今月から販売する。両製品を加えた複合環境センサーシリーズ全体で、2024年度に売上高1億円を目指す。

電気新聞2024年4月30日