北海道電力は24日、石狩湾新港発電所1号機(北海道小樽市、LNG、出力56万9400キロワット)の運転状態の常時監視・制御を苫東厚真発電所(北海道厚真町、石炭、総出力165万キロワット)の中央操作室から遠隔で行うと発表した。少子高齢化で人材不足が課題になる中、大型火力の常時監視・制御業務を苫東厚真発電所に集約して業務品質の維持・向上を図る。4月から試験運用中で、今年度下期に本格的に始める。同社によると大型火力を遠隔から常時監視・制御するのは大手電力会社で初めて。

 2021年4月に電気事業法の省令が改正され、大型火力に義務付けられていた発電所構内からの運転状態の常時監視・制御について、一定の要件を満たせば構外からも可能になった。苫東厚真発電所の中央操作室から石狩湾新港1号機を遠隔監視・制御する取り組みはこの省令改正を踏まえた。同1号機は装置のデジタル化が進んでいるため、比較的低コストで実行に移せるとしている。

 同1号機の中央操作室では最大19人の所員が運転状態の監視・制御を担っているが、今年度下期以降、苫東厚真発電所に要員をシフトしていく。

 将来は大型火力の遠隔監視・制御で培ったノウハウを生かし、他社の発電所やごみ焼却設備、上下水道処理設備の監視・制御を北海道電力の発電所から遠隔で行うサービスの提供を目指す。

 北海道電力は火力発電所のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて少子高齢化、人材不足といった課題に対応する考え。石狩湾新港1号機では4月に巡視点検ロボットの運用も始め、人手での点検時間の短縮を図っている。

電気新聞2024年4月25日