石狩湾新港1号機の制御油ポンプを点検するロボット(右)

 北海道電力は19日、石狩湾新港発電所1号機(北海道小樽市、LNG、出力56万9400キロワット)に発電設備の巡視点検ロボット1台を導入し、15日から運用を始めたと発表した。自走式のロボットが設備の外観やアナログ計器の画像を撮影し、運転員がいる中央操作室に伝送。運転員は遠隔から設備の異常の有無を確認できる。人手での点検を年間約180時間短縮する効果を見込む。同社の発電所に自走式の点検ロボットを導入したのは初めて。

 少子高齢化で若手人材が不足する中、発電設備の人手での巡視点検には労力がかかっている。ロボットの導入は北海道電力が火力発電所で進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環で、巡視点検業務の省力化が狙い。アナログ計器の計測値を自動で時系列データにする機能を実装しており、業務の高度化も図る。

 昨年11月からの試運用を経てHBA(札幌市、白幡一雄社長)製のロボットを導入した。設備の外観点検、温度測定、音響解析、アナログ計器の計測値の読み取り、油の漏えい有無の検知といった業務をこなす。

 巡視点検の開始時刻と点検順序を設定すれば、自動で充電ドックを出発。多関節のアームや可視光カメラ、紫外光ライト、集音マイクなどを駆使して設備のデータを集め、中央操作室に伝送する。ロボットの高さはアームを伸ばすと1メートル75センチで、総重量は100キログラム。現在はタービン建屋1階の巡視点検を毎日1回担っており、約300項目の設備データを収集している。

 19日には石狩湾新港1号機のタービン建屋1階で、ロボットが制御油ポンプの外観などを点検する様子を報道陣に公開した。天野隆史・火力部火力情報技術グループリーダーは「点検業務の品質向上と効率化につなげたい。機能の改良に努めるとともに、他の火力発電所への導入も検討していく」と述べた。

電気新聞2024年4月22日