廃校のプール上で開始した浮体式ペロブスカイト実証

 積水化学工業は5日、浮体式ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始したと発表した。同社は軽量・柔軟性などを特長とするフィルム型ペロブスカイト電池とその製造プロセスを開発しており、現在、一層の耐久性・発電効率の向上などに取り組む。今回の実証実験では、ペロブスカイトの特性を生かした水上発電設備での利用を想定。1年間の予定で、東京都北区の閉校になった学校プールに浮体を設置し、浮体構成、施工性、発電性能などを検証する。

 実証実験は橋梁(きょうりょう)など鋼構造製品のエンジニアリングを手掛けるエム・エムブリッジ(広島市、池浦正裕社長)、恒栄電設(東京都北区、小林永治社長)と共同で行う。浮体式のペロブスカイト実証は国内初。

 池や湖、湾などの水面に浮体を設置する水上・洋上太陽光設備は一部で普及しつつあるが、シリコン系など従来型太陽電池では架台を含めた重量を支持する浮体構成や施工性などに課題がある。3者はペロブスカイトの軽量性を生かした浮体型発電技術の確立を目指す。

 エム・エムブリッジは前身の一つである三菱重工業から継承した浮体の構造設計や係留方法などのノウハウを提供。測定データ要素や負荷制御をカスタマイズできる恒栄電設独自開発の計測制御システムで、水上環境や浮体特有のデータ取得を行う。

 積水化学は3月に物流業のセンコーグループホールディングス(東京都江東区、福田泰久社長)とも実証を開始している。倉庫、工場の壁面での利用を想定し、センコーグループの複合物流施設(茨城県古河市)でペロブスカイトを壁面設置。こちらも約1年の予定で性能などを検証する。

電気新聞2024年4月8日