電力広域的運営推進機関(広域機関)は26日、初回となる2023年度の長期脱炭素電源オークションの約定結果を公表した。約定総量は脱炭素電源が401万キロワット、別枠で募集したLNG専焼火力が575万6000キロワット。過去5年間のスポット価格などを基に試算した他市場収益を除く約定総額は、それぞれ最大で1年当たり1560億円、同1062億円だった。

 脱炭素電源の約定総量のうち、蓄電池・揚水は募集量の100万キロワットを超える166万9000キロワット。落札電源の総量が脱炭素電源全体の募集量に満たなかったため、空き枠から超過分が充当された。既設火力の改修は82万6000キロワットが約定した。

 応札量の合計は1356万2000キロワットで落札率は72%。落札量をエリア別にみると、最も多いのが関西の324万6000キロワット。一方、東京は60万5000キロワット、九州は21万8000キロワットと相対的に少なかった。

 発電方式ごとの応札量は揚水が83万8000キロワット(落札率69%)、蓄電池が455万9000キロワット(同24%)。既設火力の改修は、水素混焼が5万5000キロワット(同100%)、アンモニア混焼が77万キロワット(同100%)だった。

 新設・リプレースは水素混焼が6万8000キロワット(同0%)、バイオマス専焼が19万9000キロワット(同100%)、原子力が131万6000キロワット(同100%)だった。

 原子力は中国電力島根原子力3号機のみが応札・落札した。23~25年度の3年間で計600万キロワットを募集したLNG専焼火力は初年度だけで大半が埋まった形だ。落札容量のうち、新設・リプレースは91%を占めた。

 広域機関は実需給27年度における容量拠出金額も試算した。長期脱炭素電源オークション分は一般送配電事業者が5億4000万円、小売電気事業者が61億5000万円だった。

 同オークションはスポット市場や非化石価値取引市場から得られる収益の約9割を事後的に還付する仕組みだ。試算に基づく還付額控除前の約定総額は脱炭素電源が1年当たり2336億円、LNG専焼火力が同1766億円。広域機関の試算では、還付額が容量確保契約金額を上回るケースもあった。

電気新聞2024年4月30日