経済産業省の調達価格等算定委員会(委員長=山内弘隆・一橋大学大学院教授)は9日、2019年度以降のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り価格案を示した。事業用太陽光(10キロワット以上、500キロワット未満)は現行の1キロワット時当たり18円から同14円へと引き下げる。入札制の対象も500キロワット以上にまで広げ、国民負担の抑制とコスト競争力の強化につなげる。入札の対象とならないバイオマスのほか、地熱、中小水力などは現行の価格を据え置いた。

 価格案は至近のコストデータを基に算出した。今後、パブリックコメント(意見募集)などを経て、年度末までに経産相が正式に決定する。

 事業用太陽光の入札制については、19年度に現行の「2千キロワット以上」から「500キロワット以上」へと拡大。入札対象外の案件は1キロワット時当たり14円へと価格を抑える。価格目標も前倒しし、25年度に同7円の発電コストの実現を目指す。

 バイオマスは、19年度も一般木材(1万キロワット以上)と「バイオマス液体燃料」の全規模を入札によって決定する。入札対象外となる一般木材(1万キロワット未満)は18年度の同24円を据え置く。未利用材などその他の区分も、20年度までの価格を維持する。

 業界団体から要望があった新規燃料の取り扱いを巡っては、副産物を含め、持続可能性の観点から専門的な議論を深める。総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の下に会議体を設け、速やかに検討に着手する方針だ。

 陸上風力は20年度末に控える再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)の抜本見直しとの整合性を図る観点から、21年度の価格は設定しない。同様に着床式洋上風力の20年度以降、浮体式洋上風力の21年度価格も今後検討する。また、一般海域の利用ルールの詳細設計が固まり次第、適用案件は入札制に移行される。

 この他、住宅用太陽光(10キロワット未満)は出力制御対応機器の有無にかかわらず、同一区分として扱い、20年度以降の価格は複数年度で設定せず、当該年度開始前までに決めることでまとまった。地熱と小規模水力の全区分は20年度までの価格と期間を据え置く。

電気新聞2019年1月10日