水が抜かれ10年ぶりに姿を見せた取水口
水が抜かれ10年ぶりに姿を見せた取水口

 揚水発電所の上池として造られた城山湖(相模原市緑区)で、昨年12月、湖の水が抜かれ湖底がむき出しとなった珍しい光景が広がった。地下の城山発電所(神奈川県営)に水を導く水圧鉄管のメンテナンスとして、10年ぶりに水抜きを実施したものだ。

 城山発電所は日本初の大規模な純揚水式発電所として1965年に建設。下池である津久井湖と上池の城山湖の間で水を融通する。昼間は上池から下池に落ちる水の力で発電。夜間は他の発電所で余った電気を使い、下池から上池へ向けて水をくみ上げる。運転の停止や起動が難しい火力や原子力発電と比べ、電力需要の急激な変化に対処できる点が特長だ。

 12月15日には城山湖湖底付近や地下230メートルにある城山発電所を歩いて回る見学会を開催した。午前と午後の2回に神奈川県内在住の約60人が参加。簡単な施設紹介の映像を見た後、実際に城山湖周辺を散策した。普段はダムの水で隠れてしまう取水口も、しっかりと確認することができる。その後、発電所内に移動し、実際に水が流れる水圧鉄管路などを見て回った。発電の仕組みを知った参加者からは驚きの声も上がっていた。

 案内役を務めた県企業庁発電総合制御所の比留川知義副所長は「電気は誰かがつくり、それを維持する人がいる。そこに目を向けてほしい。(見学会が)そのきっかけになれば」と話していた。

電気新聞2018年12月19日