経済産業省・資源エネルギー庁は11日、再生可能エネルギー出力制御の2024年度の見通しを明らかにした。23年度の見通しに比べ、東北、中国、四国エリアで1~2ポイント、出力制御率が増加すると見込む。東京エリアでは、24年度に需給制約による出力制御が発生する蓋然性は低いとみている。

 出力制御率の見通しは、東北が23年度比1.57ポイント増の2.5%、中国は同2.0ポイント増の5.8%、四国が1.4ポイント増の4.5%。増加要因として、3エリアとも再エネの連系量が増える一方、需要が22年度比3~5%減少することを挙げた。

 エリアごとの要因としては、中国で連系線を活用した域外送電量の減少や原子力の営業運転再開、四国は、関西四国間連系設備の双極停止作業。加えて、中四国とも揚水の補修計画による作業停止も影響する。出力制御率が最も高い6.1%の九州は、23年度見通しと比較して晴天日が減少するため、23年度比0.6ポイント減と見通した。

 今回の見通しは、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の系統ワーキンググループ(座長=馬場旬平・東京大学大学院教授)で報告した。

 再エネ導入量増加に伴い、低下傾向にある周波数品質の維持に向け、数分~十数分程度の周期の負荷変動に対応した「LFC調整力」確保に関しても審議した。

 上げ調整力は24年度以降、需給調整市場でエリア需要の2~3%程度分、応動時間5分以内を満たした電源を調達する一方、下げ調整力は応動時間の考え方が統一されていない。

 エネ庁は、周波数をプラスマイナス0.1ヘルツの範囲にとどめる「滞在率」が19年度98、99%だったが、近年は春・秋に96%前後まで低下している状況を説明。周波数品質維持の観点から、「今後は上げ調整力と同様、下げ調整力について応動時間も考慮して確保することが必要ではないか」と提起した。

 ただし、過度な下げ調整力の確保は「将来の再エネ出力制御量増加にもつながる恐れがある」と指摘。適切な下げ調整力の確保量について、電力広域的運営推進機関で検討していく方向性を示した。

電気新聞2024年3月12日