電力・ガス取引監視等委員会は14日、電気の低圧分野のスイッチング(供給者変更)率が9月時点で20%を突破したと発表した。このうち、みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者の小売部門)から新電力のスイッチング率は12.7%(件数は約795万件)。新電力へのスイッチング率は2018年3月に10%を超えた。低圧では「大手電力VS新電力」という競争の構図が続いている。ただ、特別高圧・高圧まで含めると、新電力に加え大手電力間での競争も激化している。小売りだけでなく卸供給を巡る競争も繰り広げられており、電力市場の競争は複雑化している。

 9月時点での全体のスイッチング率は20.5%(約1284万件)。このうち、みなし小売電気事業者内のスイッチング率は7.8%(約489万件)だった。

 エリア別(契約口数ベース)では“草刈り場”である大都市圏が顕著で、東京で22.5%、中部で29.0%、関西で26.1%となった。

 ただ、中部や中国は自社内での規制料金から自由料金への変更が多い。

 電力・ガス監視委は、販売電力量のシェアの高い新電力上位20者も公表した。1位から順に東京ガス(20%)、KDDI(11%)、大阪ガス(10%)、JXTGエネルギー(6%)、ハルエネ(6%)と続いた。特にハルエネは17年4月時点から10位以上伸ばした。

 低圧分野では件数ベースでのスイッチング率が注目されるが、特別高圧・高圧を含めた新電力シェア(販売電力量ベース)も伸びている。小売り全面自由化直後の16年4月は5.2%だったのに対し、17年4月には9.2%、18年9月には14.2%まで拡大している。

 エリア別(販売電力量ベース、18年9月)の新電力シェアでは、北海道が22.5%と最も高く、次いで東京が18.1%、関西が15.3%となっている。販売電力量は月ごとに変動するため、シェアは微妙に増減するが、18年9月時点では全国10エリアのうち7エリアで新電力シェアが10%を超えている。

 さらに、昨年からは高圧分野を中心に、大手電力間での競争も激化している。

電気新聞2018年12月17日