完全人工光型で自動化された植物工場の内部

◆静岡・袋井市で、1日10トン生産

 中部電力など3社が出資する静岡県袋井市の植物工場で1日、出荷式が開かれた。世界最大規模となる1日当たり10トンのレタスを生産できる完全人工光型の自動化植物工場。1月から生産を開始して2月25日に初出荷し、8月頃のフル稼働を予定している。出荷式には袋井市の大場規之市長ら地元関係者も出席し、次世代型農業生産システムを導入した工場の安定稼働に期待を寄せた。

 中部電力と不動産子会社の日本エスコン、植物工場を手掛けるスプレッド(京都市、稲田信二社長)は2021年に合同会社「TSUNAGU Community Farm(ツナグコミュニティファーム)」を設立。約3年をかけて植物工場「テクノファーム袋井」を完成させた。

 同工場は完全閉鎖型で環境を制御できるため、天候に左右されず365日安定的な生産が可能。栽培中の農薬も不要となる。ロボットやIT技術を活用して栽培の自動化率を80%まで高めたほか、専用LED照明の使用などで消費電力量も従来の植物工場より15%削減している。

 1日の出荷式であいさつした中部電力の野田英智専務執行役員・事業創造本部長は、同社が「新しいコミュニティの形」を提供する新規事業の中でも今回の工場が「『食・農』の分野で具現化する第1号になる」と指摘。袋井市の大場市長は「世界規模のビジネスがここ袋井で始まることはうれしい」と語った。

電気新聞2024年3月5日