◆30年頃までに

 北海道電力、出光興産、ENEOSの3社は20日、北海道苫小牧西部エリアでグリーン水素サプライチェーン構築に向けた共同検討を行うと発表した。2030年頃までに、国内最大規模である10万キロワット以上の水電解プラントや水素貯蔵設備を建設。再生可能エネルギー電力由来のグリーン水素を年約1万トン製造する。製造した水素は新設するパイプラインを通じて、出光の北海道製油所をはじめとするコンビナート内の需要家に供給していく。

 同日、3社で覚書を締結した。北海道電力は再エネ電力調達、水電解プラントの建設・運用・保守、水素販売を担当。出光は合成燃料の原料として水素を利用するほか地元理解醸成活動を担う。ENEOSは事業性評価、水電解プラントの設計、水素販売を進める。最終投資決定(FID)は25年頃を見込んでいる。

 北海道は再エネ電力が豊富にある一方、電力需要が比較的小規模で地域間連系線の容量も限られているため、調整力の確保が課題となっている。水電解プラントを調整力として活用することにより、電力需給バランスを改善する狙い。苫小牧西部エリアの水素転換需要は年7万トン程度を見込んでいることから、水素の地産地消も図る。

 20日の報道陣向け説明会に出席した北海道電力の富田隆之・総合エネルギー事業部水素事業推進グループリーダーは「水素を国内で製造することはエネルギーセキュリティーの面で意義がある」と強調。3社で連携しながら脱炭素と水素社会の実現に貢献していく考えを示した。

電気新聞2024年2月21日